今回の定期演奏会もJ.S.バッハのカンタータを４曲聴いていただきます。 番号の若い順から，カンタータ第42番「されど同じ安息日の夕べに」は，冒頭合唱がなく， 合奏協奏曲(コンチェルト)風のシンフォニアが置かれています。カンタータ全体も器楽パート同士のやりとり， 声と楽器のやりとり，声と声のやりとりなど，コンチェルト風の仕立てに終始している所をご注目ください。

続いてカンタータ第86番「まことに，まことに，われ汝らに告ぐ」は，前曲同様冒頭が合唱で始まるのではなく， 短いバスのアリアから始まります。聞き所としては，第2曲の細かい刻むヴィヴァルディ風の独創ヴァイオリン・オブリガード を持つアルトのアリアが挙げられます。

カンタータ第104番「聴きたまえ，汝イスラエルの牧者よ」は第3曲目の牧歌的な響きが楽しい2本の オーボエ・ダモーレのオブリガードを持つテノールのアリアや，第5曲の荘厳で心洗われるような弦楽器のユニゾン が聞き所として挙げられると思います。

カンタータ第144番「汝のものを取りて去りゆけ」は「親兄弟を捨てても，真の信仰を護り通さなければ ならない。」という重い主題を持つカンタータで，冒頭のポリフォニックな合唱も，第2曲のアルトのアリア も暗い弦楽器のオブリガードと共にこの主題を歌い上げます。また第5曲の美しいオーボエのオブリガード とソプラノのアリアは心に染み入るようです。

今回も浜離宮朝日ホールでの演奏会です。ぜひご来場ください，皆様をお待ちいたしております。